先に数字 — 105機種のうち、PDまたはPPSを明記しているのは25台だけ
当サイトが掲載している105機種(delistedを除く)の、公式仕様の充電欄(specs.charging)を全数読み直しました。結果は次のとおりです。
- charging欄に何らかの記述があるのは103台(欄が空なのはAQUOS sense9とらくらくスマートフォン Liteの2台だけ)
- USB PDまたはPPSを明記しているのは25台/105台
- そのうちPPSまで明記しているのは12台
- 「Type-C」という語は出てくるが、PDやPPSという語までは書いていない機種が15台
- 充電の記述が時間の数字だけで、規格を示す語が1つも出てこない機種が9台
- ACアダプタが箱に同梱されるかどうかに言及しているのは2台だけ
25台という数字は、105機種のうち4分の1に届きません。「この充電器ならあなたの機種で急速充電できる」と当サイトが言えるだけの根拠を、メーカーの大半は公開していない、ということです。以下、ブランドごとにこの偏りを見ていきます。
PDとPPSの違いはここでは説明しない — 数えているのは「書いてあるかどうか」
USB PD(Power Delivery)とPPS(Programmable Power Supply)が何を保証する規格なのかは、本記事では説明しません。規格そのものの解説と、出力(W)・GaN・PSEを含めた充電器の選び方は、別記事スマホ充電器のおすすめ4選にまとめています。
本記事が数えているのは「メーカーの公式仕様に、PDまたはPPSという語が書かれているかどうか」という1点だけです。語が書かれていなくても、端末が内部的にPDに対応している可能性は否定できません。当サイトが確認しているのは公表の有無であり、技術的な対応状況そのものではない、という違いをあらかじめ断っておきます。
同じ理由で、「この充電器を使えば何分で充電できるか」という充電時間の比較可能性についても、本記事では扱いません。測定に使うACアダプタや電池容量が機種ごとに違うため、公称の充電時間を単純に並べて速さを比べることはできないという論点は、別記事かんたんスマホの充電時間は比べられないで扱っています。
【ブランド別】公表の姿勢がブランドで真逆である
PDまたはPPSを明記している台数を、当サイトの掲載台数で割って並べると、ブランドごとに公表の姿勢がはっきり分かれます。
| ブランド | PDまたはPPSを明記/掲載数 |
|---|---|
| Apple | 0/16 |
| 2/18 | |
| Samsung | 1/15 |
| SHARP | 5/13 |
| Motorola | 2/10 |
| SONY | 2/8 |
| Xiaomi | 3/6 |
| FCNT | 5/6 |
| OPPO | 2/5 |
| 京セラ | 1/4 |
| Nothing | 0/2 |
この表には、1機種しか掲載していない2ブランドを含めていません。ZTE(あんしんファミリースマホ)とBrain Technologies(Natural AI Phone)は、いずれも掲載1機種でPD-PPSを明記しており、台数は少ないものの明記側に入ります。この2台を合わせると、PDまたはPPSを明記している機種は105台中25台になります。
表からわかるのは、FCNT(5/6)・SHARP(5/13)・京セラ(1/4)といった国内メーカーのほうが明記する機種が多く、Apple(0/16)・Google(2/18)・Samsung(1/15)という、当サイトで合計49台を占める3ブランドでは明記がほとんど無いという、台数の多いブランドほど書かない傾向です。Apple・Google・Samsungの3ブランドだけで49台あり、そのうち明記があるのは3台(Google 2台・Samsung 1台)にとどまります。
Apple 16台 — 当社が読んだ公式の充電欄に、PD・PPSの明記が無い
当サイトが掲載しているApple 16台は、16台すべてで、当社が読んだ公式仕様の充電欄にPDやPPSという語の明記がありません。⚠️これは「対応していない」という意味ではなく、「当社が読んだ公式の充電欄に明記が無い」ということです。
たとえばiPhone 17の公式仕様欄は「USB-C / MagSafe対応(40W以上アダプタで20分に最大50%)」、iPhone 18 Proは「有線: 別売り60W以上対応アダプタで約15分に最大50%」と、必要なアダプタの出力(W)までは書いていますが、USB PDやPPSという規格名そのものは出てきません。古い世代のiPhone 14も「約30分で最大50%の高速充電(20W以上アダプタ使用)」という表記で、世代をまたいで同じ書き方が続いています。
当サイトは、Appleの端末がPD系の規格に実際に対応しているかどうかを判定する立場にありません。ここで言えるのは、当サイトが登記した公式ページの充電欄という窓口を見る限り、Apple 16台のいずれにもPD・PPSという語が出てこない、という観測だけです。
Google 18台中2台だけ — 明記のある2台は何と書いているか
Googleは18台中2台、Google Pixel 10とGoogle Pixel 10 Proだけが、公式仕様に「有線急速充電(別売30W以上PPS充電器で約30分に最大55%)」と明記しています。PPSという語が、別売の充電器に求める条件として具体的に出てくる、数少ない例です。
残り16台のうち、多くはワット数は書いていてもPD・PPSという語は書いていません。たとえばPixel 9は「有線最大27W(別売45W充電器使用時)」、Pixel 9 Pro XLは「有線最大37W(別売45W充電器使用時)」という書き方で、必要な充電器の出力は示していますが規格名は出てきません。さらにPixel 11とPixel 11 Proは、「出力・充電時間はキャリア公式スペック表では非開示」と、当社が確認した窓口では出力の数字そのものが示されていません。
同じGoogleブランドの中でも、Pixel 10系だけがPPSという語を使い、ほかは出力の数字だけ、あるいは数字も非開示という、機種によって開示の度合いが違う例です。
国内メーカーは型番まで書く — simple-sumaho-7のSB-AC22-TCPD・digno-bx3のKYCFP1
国内メーカーの一部は、PD・PPSの明記にとどまらず、対応するACアダプタの型番まで公式仕様に書いています。シンプルスマホ7(SHARP)は「別売のUSB PD-PPS対応ACアダプタ SB-AC22-TCPD使用時」と、型番を指定したうえで充電時間を示しています。DIGNO BX3 カメラレス(京セラ)は、同梱のACアダプタの型番「KYCFP1」を使った場合と、別売のPD-PPS対応ACアダプタを使った場合の、2つの条件を型番つきで示しています。
一方、同じくPD-PPSを明記しているLEITZ PHONE 3(SHARP)やあんしんファミリースマホ(ZTE)、motorola razr 60s(Motorola)は、「USB Type-C PD-PPS対応」という規格の明記はあるものの、型番までは書いていません。FCNTのarrows Alphaをはじめとする5台も、「Power Delivery 3.0対応」という規格名の明記にとどまり、型番は出てきません。
つまり「型番まで書く」のは、当社が確認した範囲ではSHARPの一部機種と京セラのDIGNO BX3 カメラレスに限られます。同じ国内メーカー・同じPD-PPS明記の機種であっても、型番の有無という開示レベルにさらに差があるということです。
ACアダプタの同梱に言及しているのは2台だけ
箱にACアダプタ(充電器)が同梱されるかどうかに、公式仕様で言及している機種は、当サイトが確認した範囲では2台だけです。DIGNO BX3 カメラレスは、同梱のACアダプタKYCFP1を使った場合の充電時間を公式に示しており、同梱される前提で書かれています。シンプルスマホ7は逆に、公式仕様に「ACアダプタは同梱されない」と明記しており、充電器を別に用意する前提であることが分かります。
残り103台については、箱にACアダプタが入っているかどうかを、当社は公式の充電欄から読み取れていません。これは「同梱されない」という意味ではなく、当社が読んだ公式の充電欄にその記載が無い、ということです。購入前に箱の内容を知りたい場合は、充電欄だけでなく、同梱品の一覧やパッケージ内容の欄を別に確認する必要があります。
規格の語が1つも無い9台・Type-Cだけの15台は、何が分からないのか
当サイトの集計では、105台のうち15台が「Type-C」という語は出てくるものの、PDやPPSという語までは書いていない機種でした。この15台はSamsungに集中しており、たとえばGalaxy S25は「USB Type-C有線急速充電・ワイヤレス充電対応(公式ページに最大出力Wの明記なし)」、Galaxy A25 5Gは「USB Type-C有線急速充電対応(ワイヤレス充電の記載なし)」という書き方で、端子の種類と急速充電への対応は分かっても、規格名も出力(W)も読み取れません。
さらに9台は、充電の記述が時間の数字だけで、規格を示す語が1つも出てこない機種でした。たとえばmotorola razr 60dは「有線充電約60分でフル充電」、Xperia 10 VIIIは「充電時間 約115分(ドコモ公式仕様。有線急速充電のW数の公式記載は確認できず)」という書き方で、所要時間は分かっても、何Wで測った数字なのか、どの規格に対応しているのかは当社が読んだ窓口からは分かりません。
この2つの群に共通するのは、「急速充電に対応していること自体は書かれているが、その中身(規格・出力)は分からない」という状態です。どちらの群についても、当サイトは「分からない」という事実だけを記録し、推測で規格名や出力を補うことはしません。
【全数表】PD・PPSを明記している25台の一覧
PDまたはPPSを明記している25台を、機種名・ブランド・規格の表記・公式の原文(要約)の順に並べた一覧です。
| 機種名 | ブランド | 規格の表記 | 公式の原文(要約) |
|---|---|---|---|
| Google Pixel 10 | PPS | 別売30W以上PPS充電器で約30分に最大55% | |
| Google Pixel 10 Pro | PPS | 別売30W以上PPS充電器で約30分に最大55% | |
| Xperia 1 VI | SONY | PD | USB PD急速充電・Qiワイヤレス充電対応(ワット数の記載なし) |
| Xperia 1 VII | SONY | PD | USB PD急速充電・Qiワイヤレス充電対応(ワット数の記載なし) |
| AQUOS R9 | SHARP | PD | 有線のみ(USB PD対応、公式アダプタ使用時で満充電約130分) |
| AQUOS sense7 plus | SHARP | PD | 約155分で充電完了(USB Power Delivery 3.0対応) |
| AQUOS wish3 | SHARP | PD | 約130分で充電完了(USB Power Delivery Revision 3.0対応) |
| シンプルスマホ7 | SHARP | PD-PPS | 別売のUSB PD-PPS対応ACアダプタ SB-AC22-TCPD使用時(約135分) |
| LEITZ PHONE 3 | SHARP | PD-PPS | 約100分(USB Type-C PD-PPS対応)、Qiワイヤレス充電対応 |
| Galaxy Z Flip7 | Samsung | PD | USB Type-C有線急速充電(Power Delivery Rev.3.1)・ワイヤレス充電(Qi)対応 |
| arrows Alpha | FCNT | PD | Power Delivery 3.0対応 |
| arrows We | FCNT | PD | Power Delivery 3.0対応(USB Type-C) |
| arrows We2 | FCNT | PD | Power Delivery 3.0対応 |
| arrows We3 | FCNT | PD | Power Delivery 3.0対応 |
| arrows Alpha2 | FCNT | PD | 90W充電器(別売)使用時に1%から100%まで約40分 |
| DIGNO BX3 カメラレス | 京セラ | PD-PPS | 約140分(PD-PPS対応ACアダプタ使用時)/約170分(同梱のKYCFP1使用時) |
| motorola razr 40s | Motorola | PD | USB Type-C PD対応ACアダプタで約53分充電 |
| motorola razr 60s | Motorola | PD-PPS | USB Type-C PD-PPS対応有線充電(約60分でフル充電) |
| OPPO A5 5G | OPPO | PPS | 45W SUPERVOOCフラッシュチャージ/33W PPS |
| OPPO Reno13 A | OPPO | PPS | 45W SUPERVOOCフラッシュチャージ/45W PPS |
| Redmi 12 5G | Xiaomi | PD | USB Type-C Quick Charge PD対応(約152分) |
| REDMI 15 5G | Xiaomi | PD-PPS | 33W有線急速充電(USB Type-C PD-PPS対応) |
| Redmi Note 10T | Xiaomi | PD-PPS | USB Type-C PD-PPS対応ACアダプタ(約155分) |
| あんしんファミリースマホ | ZTE | PD-PPS | 約100分(USB Type-C PD-PPS対応) |
| Natural AI Phone | Brain Technologies | PD-PPS | 約78分(USB Type-C PD-PPS対応) |
25台のうちPPSまで明記しているのは12台で、残り13台はPDの明記にとどまります。「PD-PPS」とまとめて明記する国内メーカー機種が多く、海外ブランドはPDとPPSを別々の文脈で書く(Googleは充電器の条件として、OPPOは出力の数字として)という傾向も、この表から見て取れます。
だから当社は「この充電器が使える」と書かない
ここまでの集計で分かったのは、105機種のうちPDまたはPPSを明記しているのは25台だけで、Apple・Google・Samsungという、当サイトで合計49台を占める3ブランドでは明記がほぼ無いということです。公表の有無はブランドによって真逆で、公表していないブランドのほうが台数は多くなっています。
この結果を踏まえて、当社の方針を明記します。公表が無い機種について、当社は「この充電器が使える」とは書きません。充電器のおすすめ記事やアクセサリー記事で、特定の機種名を挙げて「この充電器が対応します」と断定することは、公式に規格の明記が無い機種については行いません。これは当社が、広告的な断定をしないという方針の、実測による裏づけでもあります。
一方で、これは「公表が無い機種では急速充電できない」という意味でもありません。当社が確認できたのは、当社が読んだ公式の窓口に規格の明記が無いという事実だけであり、端末が実際にPDやPPSに対応しているかどうかは別の話です。断定を避けるのは、情報が無いことを「対応していない」と読み替えないためです。
では読者はどう選ぶか
当社が「この充電器が使える」と言えない以上、読者自身が確認する手順を示します。
- まず、自分の機種のメーカー公式の仕様ページを開き、「充電」「バッテリー」の欄を探す。
- その欄にUSB PD・PPSという語があれば、対応する充電器(PD対応・PPS対応)を選ぶ目安になる。規格そのものの意味は充電器の選び方を参照する。
- 型番(SB-AC22-TCPDやKYCFP1のような表記)が示されていれば、その型番を検索するのが最短である。メーカーが型番まで示しているのは、その充電器であれば公式が確認済みという意味だからである。
- 規格名が無く、出力(W)の数字だけが書かれている場合は、その数字以上の対応充電器を目安にする。ただし最大速度が出るかどうかまでは、その記載だけでは分からない。
- 規格名も出力の数字も無い場合、当社はその機種向けの充電器を具体的に推奨しない。メーカーのサポート窓口に直接問い合わせるのが確実である。
箱にACアダプタが同梱されているかどうかも、充電欄ではなく同梱品やパッケージ内容の欄で別に確認する必要があります(本記事で確認できたのはDIGNO BX3 カメラレスとシンプルスマホ7の2台だけです)。
この調査の限界
この記事を読むうえで、当社が確認できていない点を明記します。
- 当社が読んだのは、当サイトが各機種ページの出典として登記している、各社公式ページの充電欄です。メーカーのFAQ・取扱説明書・アクセサリー専用ページまでは当たっていません。
- したがって「公表していない」という言い方はせず、「当社が読んだ窓口には無い」という言い方に統一しています。メーカーが別の場所でPD・PPSに言及している可能性は残ります。
- 当社はいずれの機種の充電器も実機で試していません。本記事の数字はすべて、公式仕様欄の記載を数えたものです。
- AppleのMagSafe・Qi2など、ワイヤレス充電の規格については本記事の集計対象に含めていません。有線の急速充電規格の公表率に絞っています。
出典と確認日
本記事の集計は、当サイトが掲載している105機種の仕様データの充電欄と、各機種ページの出典として登記している公式ページの記載にもとづきます。確認日は2026年10月9日です。個別機種の出典ページは、各機種ページから確認できます。
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