先に結論──「実質0円」は公式の言葉だが、中身は5社で別物
ドコモ光・auひかり・ソフトバンク光・BIGLOBE光・NURO光の公式ページは、いずれも工事費について「実質0円」または「実質無料」という表現を使っている。ここまでは5社で揃っている。しかし、当サイトが2026年10月7日に各社の公式ページで確認した範囲では、その中身は次の表のとおり別物だった。
この記事で触れた申込先
各社の申込ページで、いまの料金とキャッシュバックの条件を確認できます。
| 社 | 返ってくるもの | 還元が終わる時期 | 特記条件 |
|---|---|---|---|
| ドコモ光 | dポイント(期間・用途限定、有効期限は進呈月を含む6か月) | 利用開始月の7か月後の月から24か月 | 工事料はいったん支払う。進呈額は公式に明記されていない |
| auひかり(ホーム) | 月額からの値引き(初期費用相当額割引) | 35回(ずっとギガ得)/23回(ギガ得) | 48,950円のうち26,950円(770円×35か月)が電話側の割引 |
| ソフトバンク光 | 月額基本料金からの割引 | 課金開始月を1ヵ月目として7ヵ月目より開始。公式表記「31ヵ月目まで」 | 工事費47,520円は2026年6月1日申込分から(改定前は31,680円) |
| BIGLOBE光 | BIGLOBE利用料金からの値引き(最大合計26,000円・税込28,600円相当) | 1ギガ36回・10ギガ24回 | 別のキャッシュバックは12か月目に45日間の手続き窓口がある(次章で詳述) |
| NURO光 | 月額から同額を割引 | 36か月目まで。公式表記「特典適用により36か月目までご利用いただけた場合、実質無料」 | 工事費55,000円を36回分割(1か月目1,555円・2〜36か月目1,527円) |
以降の章では、この4列(返ってくるもの/終わる時期/特記条件/下で触れるキャッシュバックの窓口)が、なぜ・どのように5社で違うのかを、それぞれ公式ページの記載にもとづいて見ていく。
出典: ドコモ光公式(料金・工事費ページ) / auひかり公式(工事費ページ) / ソフトバンク光公式(料金ページ) / BIGLOBE光公式(ひかりコース料金表) / NURO光公式(戸建て料金ページ)(2026年10月7日確認)
「実質月額」は公式の言葉ではない
この記事の企画段階では、「各社が掲げる『実質月額』は定義が違う」という切り口を想定していた。しかし、当サイトが2026年10月7日に各社の公式ページを確認した範囲では、この前提自体が崩れた。「実質月額」という語を公式の料金ページで使っている社を、当サイトでは確認できなかった。
確認できた範囲では、ドコモ・au(主要2ページ)・ソフトバンク・BIGLOBEは、月額に対して「実質」という語を使っていない。NURO光は「特典適用後」という表現を使っている。一方で、「実質0円」「実質無料」という語は、5社とも工事費に対してだけ使われていた。
つまり、「実質月額◯円」という比較メディアでよく見る言い方は、公式が示している額ではなく、比較メディア側が独自に計算して付けている言葉だということになる。当サイトがこの記事で最初に伝えたいのは、各社の実質月額を比較することではなく、「実質」という言葉がどこに対して使われているかを、出所から確認するという視点そのものである。
出典: ドコモ光公式(料金ページ) / auひかり公式(工事費ページ) / ソフトバンク光公式(料金ページ) / BIGLOBE光公式(ひかりコース料金表) / NURO光公式(戸建て料金ページ)(2026年10月7日確認)
返ってくるものが現金ではない社がある
5社のうち、ドコモ光だけが、工事費の還元を現金の値引きではなくdポイントで行っている。公式によれば、このdポイントは期間・用途限定のポイントで、有効期限は進呈月を含む6か月である。au・ソフトバンク・BIGLOBE・NUROの4社は、いずれも月額料金からの値引きという形を取っており、現金相当の扱いになる。
ドコモ光のもう一つの特徴は、工事料をいったん支払うことである。工事料(28,600円・屋内配線工事あり/18,260円・なしなど。転用は0円)は分割(12回2,383円・24回1,191円など)または一括で先に支払い、そのあとでdポイントが分割進呈される仕組みになっている。値引きで最初から相殺される他社とは、支払いの順序が違う。
なお、進呈されるdポイントの具体的な額は、当サイトが確認した公式ページには記載が見当たらなかった。公式は「回線工事種類に応じたdポイント」という案内のみで、金額の明記はない。そのため、この記事では進呈額を具体的な数字で示さない。
出典: ドコモ光公式(料金・工事費ページ)(2026年10月7日確認)
還元が終わるのは契約期間より後
工事費の還元が始まるタイミングと終わるタイミングも、5社で一様ではない。とくにドコモ光とソフトバンク光は、還元の開始そのものが利用開始から数ヵ月遅れる。
| 社 | 還元が始まる時期 | 還元が終わるまでの回数 |
|---|---|---|
| ドコモ光 | 利用開始月の7か月後の月から | 24か月分割 |
| ソフトバンク光 | 課金開始月を1ヵ月目として7ヵ月目より開始 | 24ヵ月間(公式表記「課金開始月を1ヵ月目として31ヵ月目までご利用の場合」) |
当サイトの計算では、ドコモ光は利用開始月を1か月目とすると還元開始が8か月目、そこから24回分割なので、還元が終わるのは31か月目の計算になる。ソフトバンク光は公式自身が「31ヵ月目まで」と明記している。つまりどちらも、2年契約(24か月)が満了したあとも、工事費の還元はまだ終わっていない計算になる。
この2社に限らず、工事費の還元期間(ドコモ光・ソフトバンク光は実質31か月相当、auひかりは35回または23回、BIGLOBE光は36回または24回、NURO光は36回)は、契約の最低利用期間とは別の、もう一つの「期間」として存在している。この還元期間が終わる前に解約した場合にどうなるかは、本記事では扱わない(会社ごとの扱いが異なるため)。本記事は「いつ還元が終わるか」までを扱い、解約時の費用の内訳は別記事で整理している。
出典: ドコモ光公式(料金・工事費ページ) / ソフトバンク光公式(料金ページ)(2026年10月7日確認)
固定電話を外すと割引が縮む社がある
auひかり(ホーム)の「初期費用相当額割引」は、工事費48,950円に対する還元だが、その内訳を見ると、全額がネット利用に対する割引ではない。公式の記載では、ネット側が初回644円+628円×34か月、電話側が770円×35か月(=26,950円)に分かれている。つまり、工事費還元のうち26,950円分は、固定電話(auひかり電話)に加入していることが前提になっている。
公式は、ネットだけで申し込んだ場合はネット側の割引のみが適用される、という趣旨を案内している。電話を付けない場合、この26,950円分の還元は発生しないことになる。
この「電話が条件になる」という構造は、工事費還元だけの話ではない。スマホのセット割にも同じ構造がある。公式によれば、auスマートバリューは最大1,100円(固定側は「ネット+電話」が条件。スマホミニプラン・スマホスタートプランベーシックは550円)とされており、満額の割引を受けるには、やはり電話の加入が条件になる。auひかりの月額は、ネットのみ5,610円、ネット+電話6,380円(いずれも1年目の額)で、電話を付けると月額そのものも上がる。
BIGLOBE光についても、当サイトの社内調査(2026年7月時点)では、スマホのセット割に光電話(550円/月)への加入が条件になっているという記載があった。ただし、この点は本日の一次確認では再確認できていないため、現時点でも同じ条件かどうかは留保する。
電話の月額を試算に入れずに「実質0円でこれだけ安くなる」と計算すると、実際より得に見えてしまう。電話を付けるかどうかで、還元額も月額も変わるという点は、申込前に確認しておく価値がある。
出典: auひかり公式(工事費ページ) / auひかり公式(ずっとギガ得プラン料金ページ)(2026年10月7日確認)
キャッシュバックを月額に溶かすと実態から離れる
BIGLOBE光とNURO光には、工事費の値引きとは別に、申し込み後にユーザー自身が手続きをしないと受け取れないキャッシュバックがある。この手続きの窓口が開いている期間は限られている。
| 社 | 手続きが必要になる時期 | 窓口の期間 | 公式のキャッシュバック額 |
|---|---|---|---|
| BIGLOBE光 | 課金開始月を1か月目として12か月目・対象月の2日から | 45日間(マイページで手続き) | 当サイトでは、2026年10月以降の受付継続の記載を確認できなかった(金額は書かない) |
| NURO光(戸建・H) | ご利用開始から17か月後 | 45日間(案内後) | 3,000円 |
| NURO光 10ギガ(戸建・H) | ご利用開始から17か月後 | 45日間(案内後) | 10,000円 |
BIGLOBE光のキャッシュバックについては、公式キャンペーンページの適用期間が2026年9月30日までとなっており、当サイトでは2026年10月以降の受付継続についての記載を確認できなかった。そのため、この記事では金額を示さず、「終了した」とも「継続中」とも書かない。
NURO光は、利用開始から17か月後に案内が届き、そこから45日間のうちに手続きをする必要がある。手続きを逃すと受け取れない点は、BIGLOBE光も同様である。
このような「手続きを実行した前提」のキャッシュバックを、月数で割って月額の値引きのように計算してしまうと、実際に受け取れるかどうかとは別の数字になる。本記事で工事費の還元(前章までの値引き・ポイント)とキャッシュバック(本章)を分けて書いているのは、この2つの性質が違うためである。
出典: BIGLOBE光公式(キャンペーン・キャッシュバック案内ページ) / NURO光公式(キャッシュバック案内ページ)(2026年10月7日確認)
当サイトが比べるときに決めている条件
ここまで見たとおり、「実質0円」の中身は5社で前提が違う。横断で並べるために、当サイトは次の5点を条件として決めている。計算の前提を開示することが、この記事の比較としての誠実さだと考えている。
- ①還元は現金かポイントか — ドコモ光のdポイント(期間・用途限定)と、他4社の現金相当の値引きは、同じ「円」として単純に並べない。
- ②還元が終わる月数 — 「契約期間が終われば還元も終わる」とは考えず、ドコモ光・ソフトバンク光のように契約期間より還元期間が長い社は、その計算を示す。
- ③固定電話の月額を含めるか — auひかりのように電話の加入で割引額が変わる社は、電話なしの額と、電話ありの額(1年目)を両方示す。
- ④キャッシュバックは「手続きを実行した前提」にするか — BIGLOBE光・NURO光のキャッシュバックは、手続きの窓口(期間)が開いていることを前提に書く。窓口を逃した場合の額は想定しない。
- ⑤開通月は満額で置く — 開通月の月額が日割りか満額かは、NURO光(戸建)だけが公式に「開通月の月額基本料金は日割り計算」と明記しており、他の4社については当サイトの調査では記載を確認できなかった。一次情報が5社で揃わないため、本記事では開通月を満額と仮定したうえで計算している。この仮定自体が、確認できなかった事実の裏返しである。
「全部わかったふり」をしないことが、当サイトの比較記事としての立ち位置である。公式に記載が見つからなかったことと、そのこと自体が無いという事実は、同じではない。
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